石黒賢 様

俳優

石黒賢

1966年1月31日生まれ、東京都出身の俳優。
1983年にテレビドラマ「青が散る」(TBS)で主演デビュー、以後テレビドラマ、映画、舞台を中心に活動。1990年代以降、多数のドラマや映画作品に出演し、幅広い役柄を演じてきた。
主な出演作には、テレビドラマ「振り返れば奴がいる」(93・CX)、「ショムニ」シリーズ(13・02・00・98)、「アイシー~瞬間記憶操作・柊班~」(25・CX)、「ネメシス」(21・NTV)。
映画「ホワイトアウト」(00)、「THE LAST MESSAGE 海猿」(10)、「マスカレード・ナイト」(21)、「コンフィデンスマンJP(22・20・19)」。舞台「反乱のボヤージュ」(25)、「キオスク」(25)、「ハムレット」(26)などがある。
また7月より放送の日本テレビ土曜ドラマ「告白-25年目の秘密-」への出演が決定している。

皆さんこんにちは。石黒です。
この度はこのような素敵な賞をいただきまして、本当にありがとうございます。

賞をいただいたのは、テニスの大会で優勝して以来なのでとても嬉しいです。
ありがとうございます。

私は17歳の高校3年生の時に、俳優デビューをしました。

私の父がテニスの選手だったということもありまして、当時TBSのドラマで「テニス部の大学生を描いた青春群像劇のドラマをやる。主役には新人を使いたい」ということで、知り合いの方から相談を受けた父が、ある日私に「これを読んでみろ」と、原作の本を渡しまして、それが宮本輝さんがお書きになった『青が散る』という小説でした。
本当に素晴らしい本で「面白い本ですね」と言ったら「これをどうもドラマにするらしい。お前が出てみる気はあるか」という風に父に言われました。

私は俳優さんになるなんて気持ちは、全く抱いたこともありませんでしたし、学芸会でもろくな役もやったこともなかったのですが、好奇心は非常に強い男だったので、TBSのプロデューサーという方々にお会いしてみましょうという話になり、雑談をし、テニスをやっているところを見ていただいて、1週間後に「君に決まったから、これからお芝居の稽古をします。毎日TBSにいらっしゃい」と言われました。
それから1ヶ月半、相手役の女優さんと二人でレッスンを受け、デビューすることになりました。

そんな私が、今年の1月に60歳になりまして、還暦になりました。
まさか17歳だった自分が、60歳になってもこんな仕事をやるとは思ってもいませんでしたが、本当に素敵な先輩の俳優さんたちや、監督をはじめ、素敵なスタッフの方々に、僕は本当に恵まれてきたと思っています。

そしてさらに信じられないことに、今年私は、先月と先々月の5月~6月に東京の日生劇場で、『ハムレット』という舞台をやりました。
まさか、自分がシェイクスピアに出るなんてことは、夢にも思っていませんでした。
そういう俳優ではないと思っていたので、まさかそんなオファーが、僕に来るとは思っていなかったのですが、やはり人生というのは分からないものですね。
続けていればそういうこともあるのだなということを改めて思いました。

憂鬱じゃない仕事は、仕事とは思えないということもありますけれども、本当に稽古の最中は「僕はこの作品を自分の中で面白がって演じることができるのだろうか」という日々を稽古の間ずっと過ごしていました。
俳優は、やはり自分が楽しんで興に乗って演じなければ、その良さは絶対にお客さんには伝わらないと思っているので、本番までにそういう気持ちに自分がなれるのかということを、すごく私は危惧していましたが、稽古の最後の最後になって、腑に落ちた、筋が通ったという瞬間が来ました。

それから数日後に、初日を迎えることになり、やはり自分でも思ったことのない感情がありました。
今までやってきたことのない、自分にはとても高みにある仕事だと思っていましたが、挑戦して一生懸命やっていれば、こういう日が来るのだなということを、今回の『ハムレット』で改めて思いました。

今回、私がこんな賞をいただけたのは、何か続けてきたということも一因だという風に伺いました。
私はそうやってテニスを続けて、そして俳優を続けてきましたが、それと同時に新たなことにも毎年挑戦しています。
自分の中で、これは仕事に関わらないことでも、何か毎年元日に「今年はこれに挑戦しよう」ということを思い、十数年続けてきています。
そういったことも、改めて何か自分の人生が少しでも、楽しく豊かなことになればいいなという風に思っています。

テニスのおかげかもしれませんが、幸い健康でやれているのはありがたいことだと思います。
俳優には定年はありません。
セリフを覚えられて、身体が動けば。
そして、何より大事なことは、オファーがあれば続けられる仕事だと思っています。 
まさか、自分が俳優になるとは思ってもいなかった私が、いつまでも俳優でいられるかどうかは分かりませんが、待ち続けていきたいなという風に思っています。

今日のことは、私の中で大きな糧となります。
本当にありがとうございます。
またこれからも、頑張れる気がします。

「たゆたえども沈まず」の精神で、これから先も続けていきたいと思います。
本日は本当にありがとうございました。

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