「等身大の生き方で、流れるままに。」

「ル・サロン・モア」代表:市川久美子さん


多くのセレブリティに愛され、”予約が取れないプライベートサロン”として人気の「ル・サロン・モア」。オーナーの市川久美子さんは、元々は何不自由ない専業主婦でした。
しかし、43歳でシングルとなり、大きな転機を迎えます。

40代前半で迎えたあまりに大きな転機に、市川さんは美容の道での独立を決断。がむしゃらにがんばった結果、サロンの成功はもちろん、テレビショッピングへの出演やテレビCMへの出演、化粧品の開発や人気女性誌の読者モデル、サントリーのサプリメント「セサミン」のCMイメージキャラクター抜擢などの大活躍を果たします。

プラチナエイジ振興協会では、そのご活躍をもとに、2015年、第一回プラチナエイジ授賞式の美容・アンチエイジング部門のプラチナエイジストとして表彰をさせていただきました。

「プラチナエイジスト・インタビュー」の第1回は、市川さんが20年来の専門分野を飛び出して、新しい挑戦をされるということを聞き、お話を伺ってきました。


ーーサロンはいつから始められたんですか?

市川さん:はい、43歳でサロンをオープンさせたんですが、最初は飲食やお洋服などの物販も考えていたんです。でも自分がいちばん好きで、やれるのは美容だなと思って。当時通っていたサロンで施術が終わったあとに、「勉強させてください」って言って勉強することになりました。
そこから無給で1年間、接客や技術を学ばせていただいて、まあ修行ですよね、それでFCとして広尾にベッド1台でお店を出したんです。


ーーお客様はどんな方がいらしたんですか?

市川さん:最初はやっぱりお客様は1人もいなかったんですよ。ポチポチという感じだったんですね。当時中学2年生だった娘のママ友が来たいって言ってくださったんですけれども、そこに頼るんじゃなくて1から始めたかったんです。それで、朝は娘のお弁当を作って11時からサロンを開いて、お客様が来ないのでお茶を飲んだり、早めに帰って娘の塾のお迎えをしたりの毎日でした。


ーーその後、あるきっかけでサロンが有名になったと伺いましたが。

市川さん:そうですね、お客様のなかに雑誌の編集者の方がいらして、その方のご縁で取材が入ったんです。その雑誌は25ans(ヴァンサンカン)で、大人気の通販を担当しているスタッフの方が来てくださって、美容液とサロンの特集のページで、私のサロンをご紹介いただいたんです。それで、雑誌に載った次の月あたりから忙しくなりました。


ーー25ansといえば当時もいまも非常に有名な雑誌ですね。

市川さん:はい。私は結局一度もサロンの広告を打つことはなかったんですが、25ansのおかげで本当にたくさんの方に知っていただくことができました。そして、最初の掲載から半年後あたりからはもう大忙しで。夜は7時がラストの受付だったんですが、最後の施術が終わるのが9時くらいで、お昼も食べられないこともあったし、身体もくたくたになるまで働いていました。


ーーいよいよ軌道に乗り始めたんですね。

市川さん:そうです。それで、最初のオープンから1年半か2年目くらいに一人スタッフに入ってもらってベッド2台にしたんですが、それでも忙しかったですね。あと、その頃さらにいろんな雑誌の取材を受けて、また多くの方がお見えになりました。当時はいまのように美容皮膚科やインターネットほとんどなかったので、お客様も雑誌で調べてサロンで体験するしかなかったんですよね。私は目が回るような忙しさでした。


ーーそこから今度はテレビショッピングの世界へとつながるんですよね。

市川さん:はい、サロンをオープンして3年目か4年目くらいに、QVCショッピグチャンネルに出るようになったんです。


ーーそれはどんなきっかけだったんですか?

市川さん:これもお客様だったんですが、ある大手通販会社の女性役員の方がいたんです。そのご縁からですね。最初、QVCショッピングチャンネルでは私の友人が取り扱っているサプリメントをご紹介したんです。それも、放送のときにたまたま出演する人がいなくて、私は友情出演で出ただけだったんですが、実際はとても評判がよくてすごく売れたんです。それで、後はとんとん拍子で続けて出るようになりました。


ーーこれもお客様からのご縁だったんですね。

市川さん:そうなんです。ヒアルロン酸のサプリメントと、オールインワンのゲルだったんですが、時代の先端を行く素晴らしい商品に巡り会えたこともあって、結果的にすごく売れました。それを、サロンをやりながら4年間くらいやりました。多いときは毎週1回、たまに夜中の生放送で出演したり、24時間で5回出演したりもあって、40代から50代半ばまではすごく働きました。


ーーサロンもやって、ショッピングチャンネルもやって、大忙しですね。

市川さん:はい、でも、身体はくたくたに疲れましたけど、心というか気持ちはぜんぜん疲れませんでした。大変だったけど、すごく面白くって。あと、いまでもお付き合いがある方もいらっしゃいますが、やはりサロンを地道にやっていたからいろんな出会いにつながったんです。雑誌のほうも、サロンの紹介だけでなく私個人の紹介で取材をしていただくこともあったし、そうそう、読者モデルもやるようになりましたね。


ーーどんな雑誌で読者モデルをされていたんですか?

市川さん:はい。HERS(ハーズ)で読者モデルをやって、あれは51歳か52歳くらいかな、その後55歳くらいまでやっていました。当時私は化粧品の開発もしていて、メイクさんにこういう商品がありますってご紹介をしたりイベントを開いたりしていたんです。そこで知り合った方がHERSの方で、50代の読者モデルを探しているということで、やるようになったんです。


ーー活躍の場がどんどん広がりましたね。

市川さん:HERSの読者モデルは、7人くらいのグループで毎月掲載されていました。それともうひとつ、STORY(ストーリィ)にも出ていました。STORYはサロンの取材でも来てくれたし、萬田久子さんが表紙を飾っていたときは私も読者モデルとして毎月のように出ていましたよ。


ーー大きく世界が変わったことによってご自身にも何か変化はありましたか?

市川さん:そうですね、自分の世界がガラッと変わって、仕事の充実感を初めて味わうようになりました。あと、仕事を通していろんな経験もできて、このような撮影やインタビューもなんとか対応できるようになったし、それがまた次のご縁も運んできて、ジュエリーの世界へも繋がったんです。


そして今回、市川さんに新しい挑戦の機会が訪れます。

まだ日本ではほとんど知られていない、世界的なトレンドを汲んだ「ダイヤモンドパラダイス」というジュエリーブランドを、「再び」QVCショッピングチャンネルでご紹介することになったのです。

20年のキャリアを持つ美容業界とは、まったく異なる未経験の世界。
しかもこのときの市川さんは、最後の出演からはだいぶブランクがあり、毎週のように出演していたころとは感覚も違います。

それに、QVCショッピングチャンネルで商品をご紹介することの大変さや厳しさ、プロフェッショナルとして、しっかりとお客様に魅力をお伝えしなければならない責任。それを誰よりも身をもって経験しているだけに、軽々しく引き受けるわけにはいきません。

それでも、市川さんは、挑戦することを選びました。
そこにはどんな決断があったのでしょうか。



ーージュエリーの世界はどうしてやろうと思ったのですか? やりたかったことだったんですか?

市川さん:やりたいことではなかったです。まったく未経験だし、専門知識もありませんでしたから。ただ、お話を持って来てくださった方が、「ジュエリーは未経験でも、あなたが経験してきたたくさんのことは必ず生きるから」とおっしゃってくださって。私は読者モデルもそうですけど、実は自分からやりたいと言ったことってないんです。ご縁があってお話が来て、熱心にだったり誠実にだったりお話をしてくださるのを受けて、私でお役に立てるなら、という形でスタートしたのがほとんどなんです。


ーーでも、最終的にやると決められたんですね。

市川さん:はい、詳しいお話を伺ったら、通販のジュエリーは男性のプロの方が一粒石のダイヤモンドをご紹介するのがほとんどなんです。でも、実際の世界的なトレンドは、小さな石をたくさん使ったデザイン性の高いものだったり、カラーダイヤモンドを使ったものの人気が高くなってきているんですね。そこで、日本にも世界のトレンドをいち早く紹介していくこと、男性がメインのジュエリーの世界で女性がご紹介していくということで、私も挑戦してみようと思いました。


ーー大きな決断ですね。

市川さん:結果的にはそうですね。まあ、私もダイヤモンドは大好きだったし、ラインナップもとても魅力的だったこともあってなんですが。でも最初は「夕方に美味しいシャンパンでも飲みに来てください」と言われてたんです。それで行ってみたら何だか話が進んでいって、結局こうなったんです(笑)。


ーーどんな形で話が来るかわからないものですね。ところで、こちらにあるのは実際の商品なんですか?

はい。マイクロパヴェセッティング(小さな石をびっしりと並べてセッティングするスタイル)と、カラーダイヤモンドがポイントです。いま、カラーダイヤモンドもすごく人気なんですが、天然石のものは希少すぎて本当に手に入らないんです。そこで、ダイヤモンドにカラートリートメントをして、ブルーやグリーン、こちらはブラウンですね。美しい色を出しています。


ーー本当に細かいセッティングですね。

市川さん:光の当たり方でいろんな表情があるんです。あと、このようにデザイン性が高いものは、ふだん使いの一粒石のリングと重ね付けをすると新しいイメージになるので、パーティシーンやちょっと華やかな場面で気軽に楽しんでいただけますね。特にこのグリーンダイヤモンドはすごく素敵なんです。同じようなデザインでハイブランドになるとお値段も一桁変わってくるんですが、QVCではそこまでのお値段ではないので、ぜひ身近な感覚でご覧いただきたいですね。


ーーでも、通販でジュエリーというと、品質に不安を感じてしまうこともあると思うんですが。

市川さん:そうですね、確かにそのお声は本当によく聞きます。でもダイヤモンドって、大きくても輝かなかったら意味が無いんです。ある程度の大きさがあればそれなりのお値段で売られるんですが、そもそも輝きと透明感がなければ、ジュエリーとしての価値を満たさないんです。だから、今回ご紹介する「ダイヤモンドパラダイス」は、そこを徹底的に厳しくチェックしています。本当に輝きがあるもの、本当にお客様に提供する価値があるものをご用意しています。


ーーなるほど、では本当に安心していいものなんですね。

市川さん:もちろんです。でも、私本番では大丈夫なんですけど、それまでがどうしても心配性で。私きちんとしゃべれるかな?って(笑)。毎日毎日勉強して練習もしているし、皆さん応援してはくださるんですけど、やると決めたからにはみんながハッピーになれるようにならないといけないし、プレッシャーは感じています。美容に関することなら何でも答えられるんですが、これはもう本番までずっと続くと思います(笑)


ーーところで今回のQVCショッピングチャンネルは「再び」ということですが、今回のお話が来る前はどうされていたんですか?

市川さん:実は3年くらい遊んでました(笑)。


ーー遊んでいた?

市川さん:はい(笑)。旅行に行ったりして。というのも、40代50代は本当に毎日忙しくて、仕事も友人との遊びも全力でやって、まさに第2の青春のような感覚で本当に充実していました。サロンも読者モデルもQVCも化粧品開発も、会社をつくったりしながら全力でがんばっていたんです。いままで主婦で仕事なんてしたことがなかったのが、自分の力で仕事をして、お金もどんどん使えるようになって、ああ、私はいま本当に自立しているんだなと感じました。


ーーそれは確かに第2の青春ですね。

市川さん:そうなんです。仕事をした経験のない私でも、一生懸命がんばったら、しっかり自立してやれるんだというかけがえのない喜びも知りましたし、今までは子供を中心としたお付き合いのお友達が多かったのが、まったく違う世界の方ともご縁ができるようになりました。本当に「世界が開けた」という感覚だったんです。でも、いろんな方面での忙しさからサロンをいったんクローズすることになって、立ち上げた会社も解散することになったりして、こんどはいままでと違う流れになったんです。そうしているうちに母が亡くなり、父の介護を私がやるようにもなって、仕事にどっぷりだったそれまでのライフスタイルからは変わっていきました。


ーーそうだったんですか。それはおいくつぐらいのことですか?

市川さん:50代後半からですね。父は今年で99歳になるんですが、実家に戻ってこんどは初めて介護をするようになりました。介護も最初は右も左も分からなかったんですが、いまは大切な親友とも言える友人が本当にいろいろと教えてくれて、私もなんとか馴れることができました。その友人は義母の介護を何十年も自宅で続けながら、自分は自分で趣味や生き甲斐をしっかり行動に移していて、その生き方や考え方からも大いに刺激を受けました。


ーーまた新しい刺激だったんですね。

市川さん:はい。それに孫も生まれて、娘との関係も大きく変わりました。家庭の環境も大きく変わり、彼女も多感な中学生だったので、それはもういろいろありました。でも、いまは彼女も大人になり母親になって。そういえば、娘とはいまがいちばんいい関係かもしれませんね。何でも話せる一人の大人の女性として、友人として、いい関係でいられていると思います。


ーーなるほど、では、第2の青春、お休み、介護などを経て、いまはどんなお考えなんですか?

市川さん:いまはもう流れるままにですね。流れるままに。

以前はもう、ただ自分のためだけに生きていました。食べていかなければならないし、娘ともしっかりやっていかなければいけないし、仕事がうまくいくようになってからは、たくさんの人達と責任を持ってやらなければならなかったですし。でも、それができたのはやはり両親が元気だったからで、家族が亡くなることを経験した60歳のころがいちばん大変でした。そういう経験を経たから、いまはもう流れに任せて、ただ生涯現役ではいながら、自由に旅行もしつつ、充実していきたいと思いますね。サロンをベースにして、仕事もしっかりやっていきたいです。


ーーこれからの夢はありますか?

市川さん:そうですね、私こう見えて実はそんなに大それたことを求めていないんです。見た目は派手なんですが、サロンには本当に親しいお友達やお仲間が来てくれればいいし、いままでのようにたくさんの雑誌に出ることや有名になることは本当にいらなくて。
60歳を迎えた時に自分が主催でお祝いのパーティを開いたのですが、それが本当に楽しくて、面白かったんです。それからは60歳という年齢はいままで以上に気にしなくなりました。
だから、これからも年齢をネガティブに気にすることなく、好きな美容のお仕事を続けていきながら、気の置けない友人と美味しいワインを飲んだりお食事をしたり、ショッピングや旅行をして、人生を楽しんでいければいいなというところです。あとは孫娘といっしょに遊ぶことですね(笑)


ーーまさに流れるままに、ですね。

市川さん:はい。いろいろありましたが、本当に「いまがいちばん楽しい」って思えます。
プラチナエイジストを受賞させていただいたことは本当に光栄なことですが、それはしっかり自覚を持って生きつつ、でも、流れに任せていきたいと思います。


ーーたくさんの素敵なお話をありがとうございました。これからも応援させていただきますので、ますます”流れるままに”ご活躍ください。

市川さん:こちらこそ、どうもありがとうございました。



※この取材のあと、2017年5月7日20:00から、CSデジタル放送やYoutubeで放送されたQVCショッピングチャンネルで、市川さんはしっかりとプロフェッショナルとして、商品の様々な魅力やジュエリーのあるライフスタイルの喜び、楽しさをお伝えされていました。市川さんが言うのならという安心感も十分に伝わってきて、これまでの生き方があってこその信頼感を感じました。



編集後記

私が初めて市川さんとお会いしたのは、銀座の高級チョコレートショップのカフェ。
取材の事前打ち合わせということで急遽お時間をいただいて30分ほどお目にかかったのですが、つばの長いキャペリンハットに鮮やかなグリーンのスカート、60代とは思えないほどにハリのある美しいお肌にとても驚きました。まさに女優、モデルさんのオーラ。

でも、なんどもお話しを伺っていくうちに、そのお人柄やくるくる変わる表情、時折みせるチャーミングな笑顔や本音のお話から、実際は等身大で必要以上の飾り気のない、自分自身をありのままで生きている方だとわかってきました。
好きなこと、嫌いなこと、できること、できないこと、得意なこと、苦手なこと、そういういろいろな自分をありのままで受け入れている。それが強さであり、芯であり、市川久美子さんのいちばんの魅力なのです。

等身大の生き方で、ありのままの輝きを放つプラチナエイジスト、市川久美子さん。
プラチナエイジ振興協会は、市川久美子さんの変わらずのご活躍を今後も応援し続けます。

(インタビュー・撮影/2017.5.1 安 憲二郎)